後回しにしてしまうのは能力不足じゃない|現場監督とイナーシャ(慣性)
- よっしゃー、今日の現場もやり切った。
…あれ、でもあそこは見に行けてないな。
んーもう暗くなってきてるし、明日の朝でいっか。 - 作業員「監督ー。あそこ、現場で説明してくれない?
忙しかったら、良い感じに仕上げちゃうけど」に甘えてしまう。 - 今日も昨日と継続作業か。
職長もしっかりしてるし、今日はPC作業中心でいこうかな。
どれも、現場監督なら頭に浮かんだことがある場面だと思います。
こんにちは!B監督です!
現場が繁忙期で忙しい時、あと一歩踏み出して頑張れない。大事なことだと頭ではわかっているのに、後回しにしてしまう。
今回は、そんな悩みを抱えてるあなたに向けて、なぜ現場で「後回し」が起きてしまうのかを、人間の性質という視点から整理してお伝えいたします。
この記事を読み終わるころには、これまでとは少し違う視点で自分の行動を見返せると思います。

結論|後回しにしてしまうのは能力不足ではない
現場で物事を後回しにしてしまうのは、あなたの能力が足りないからでも、意識が低いからでもありません。
人間の性質としてそういう行動をするとわかっています。
そもそも、人間の性質として後回しにするようになっている
なぜか。
それは、人間がもともと持っている「イナーシャ(慣性)」という性質が原因です。
忙しいとき、人は無意識のうちに「今のままでいい」「変えなくて良い」という判断を選びやすくなります。
現場が順調に回っている、職長もしっかりしている、昨日も特に問題なかった、こうした安心材料がそろうほど、現状維持してしまうのです。
だから、ここでまず知ってほしいのは人間はそういう判断をしてしまう生き物だということです。
じゃあ、僕がいつも後回しにしてしまうのは、人間に生まれたからしょうがないってこと?

人は頭の中で合理的な行動がわかっていても、非合理的な行動をする生き物です。それを知った上で対策をとれるのも、また人間ですから、しっかりと対策をとれば、防ぐことができます。

現場でイナーシャが働く場面①|なぜ「後で見に行こう」となるのか
忙しいと「今やらなくてもいい理由」をさがしてしまう
「もう暗いし、明日の朝でいいか」
「今は別の対応で手一杯だ」
「あとは簡単な作業しか残ってないから、大丈夫だろう」
こうした判断は、決してサボっているわけではありません。
むしろ、限られた時間の中で優先順位をつけた上での判断だと思います。
ただ、人間には「現場を変えない方が楽だし、その状態を維持しよう」という性質があります。(これがイナーシャ(慣性))
一度、「今日はここまででいい」と思ってしまうと、そこからもう一歩踏み出すのが急に重くなるのです。
「どうしようかな。」と迷って後回しにしたことは、得てして「あの時見ておけば良かった。」となることが多いです。。

対策:「あとで」を見逃さないための一言
このタイプの後回しに対しては、次の一言を自分に投げかけることで改善されます。
「今している作業は、他の作業を後回しにしてでも続けるべき作業なのか」
ほとんどの作業はそうではありません。しかし、イナーシャによって行動が決められて、現状維持の行動を選択させられるのです。
そこで、「あ、今イナーシャが働いているかもしれない」と認識して、もう一度考えることが重要です。(その結果、やはり後回しにする。という判断に至っても問題ありません。)
必ず、後回しにしていけないと言っているわけではありません。ただ、イナーシャを認識し、もう一度フラットな位置で再度判断することが重要なのです。
現場で一番下っ端の時は、基本、現場に出突っ張りかと思います。昼もとれずに昼礼のぎりぎりに事務所に戻ることもザラですよね。。
ただ、「疲れたし、あとでいっか」「明日でいっか」となった時、イナーシャが働いてないか、正常に判断できているかを考えられれば最高ですね。

現場でイナーシャが働く場面②|なぜ「任せてしまう」のか
信頼できる人がいるほど、PC作業を優先してしまう
- 職長がしっかりしている。
- 作業員もベテランで安心感がある。
- 現場の雰囲気も悪くない。
こうしたときほど、事務所でのPC作業を優先して、「現場を確認しなくても大丈夫」と判断しがちになってしまいます。
これは信頼の裏返しで、同時にイナーシャが最も強く働く瞬間でもあります。
「任せている」という安心が、「確認しない」という判断につながってしまうのです。
対策:現場巡視の行くタイミングや時間を決める
大事なのは「任せること」と「現場の確認をすること」を切り分けて考えることです。
職長を信頼していても、現場を見に行かない理由にはなりません。
作業員に任せても、現場を見に行かない理由にはなりません。
でも、そう切り分けて考えるのも難しいこともあるかと思います。
なので、私がおすすめするのは「現場巡視のタイミングを決める」ということ。
私の場合はだいたい2パターンありまして、
- 通常の日
11:00 現場巡視
16:00 現場巡視
- 前日の夜が悪天候の場合
8:30 現場巡視
11:00 現場巡視
16:00 現場巡視
の流れで動いています。(私には私の他に現場を見てくれる部下がいますので、それはご承知おきください。)
こうして、時間を決めて行動することで、職長・作業員のレベルに合わせた動きにならずに判断することができます。
まとめ|仕組みで人間の性質に打ち勝つ
人は、忙しい時ほど楽な判断を選びます。それは弱さではなく、人間の性質です。
だから、事前に自分の行動を仕組み化することで、それに打ち勝つのです。
あれ?これはイナーシャが働いているかも?と気づけた時点でKO勝ちです!
そのために、明日からできることはとてもシンプル。
この記事があなたの背中を押せれば嬉しいです!
ご安全に!!
イナーシャを知るきっかけになった本

ちなみに、こうした考え方を知るきっかけになったのが、「行動経済学が最強の学問である」という本でした。
最初は「行動経済学ってなんだろう?」と思い、手にして読んだ本でしたが、現場の行動にも当てはまると思い、大変興味深く読ませていただきました。
興味のある方は、是非!ご一読してみてください。
