施工管理者必見!労働安全衛生法第88条を徹底解説

こんにちは、B監督です!
施工計画を作るなら避けては通れない『労働安全衛生法第88条』。
知らずに工事を進めると罰則や指導の対象に⁉
今回の記事では、そんな88条について詳しく解説していきます!

施工管理者が88条を知るべき理由
- そもそも、労働安全衛生法って何?
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労働安全衛生法とは、労働基準法と相まって、労働災害の防止に関する総合的、計画的な対策を推進することにより、職場における労働者の安全と健康を確保し、さらに進んで快適な作業環境の形成を促進することを目的とすることを定めた法律(昭和47年制定)
一言でまとめると、日本で工事を行う際の安全に関する法律です。
知らないとどうなるか
前回の記事では、施工計画書を発注者に向けて提出しますってことはお話ししました。
しかし、一部の工事計画の中には所轄の労働基準監督署長に事前に計画内容を届け出ることが労働安全衛生法第88条で義務付けられているものもあるのです。
ふーん。提出しなかったらどうなるの?

50万円以下の罰金(労働安全衛生法第百二十条)になります。
そもそも、会社として法律を犯していることになりますから、発注者や世間からのイメージダウンは避けられません。

、、!! 絶対守らないといけないね。

労働安全衛生法第88条の概要
第88条には、計画の届出等に関する法律が定められています。
- 労働安全衛生法第88条の中身って何?
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第八十八条 事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、第二十八条の二第一項に規定する措置その他の厚生労働省令で定める措置を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、この限りでない。
2 事業者は、建設業に属する事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれがある特に大規模な仕事で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出なければならない。
3 事業者は、建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事(建設業に属する事業にあつては、前項の厚生労働省令で定める仕事を除く。)で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の十四日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。
4 事業者は、第一項の規定による届出に係る工事のうち厚生労働省令で定める工事の計画、第二項の厚生労働省令で定める仕事の計画又は前項の規定による届出に係る仕事のうち厚生労働省令で定める仕事の計画を作成するときは、当該工事に係る建設物若しくは機械等又は当該仕事から生ずる労働災害の防止を図るため、厚生労働省令で定める資格を有する者を参画させなければならない。
5 前三項の規定(前項の規定のうち、第一項の規定による届出に係る部分を除く。)は、当該仕事が数次の請負契約によつて行われる場合において、当該仕事を自ら行う発注者がいるときは当該発注者以外の事業者、当該仕事を自ら行う発注者がいないときは元請負人以外の事業者については、適用しない。
6 労働基準監督署長は第一項又は第三項の規定による届出があつた場合において、厚生労働大臣は第二項の規定による届出があつた場合において、それぞれ当該届出に係る事項がこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反すると認めるときは、当該届出をした事業者に対し、その届出に係る工事若しくは仕事の開始を差し止め、又は当該計画を変更すべきことを命ずることができる。
7 厚生労働大臣又は労働基準監督署長は、前項の規定による命令(第二項又は第三項の規定による届出をした事業者に対するものに限る。)をした場合において、必要があると認めるときは、当該命令に係る仕事の発注者(当該仕事を自ら行う者を除く。)に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請を行うことができる。
文章が多すぎて、、、。結局どういうことなの?

つまり、危険が伴ったり、大規模な足場の組み立て、クレーンの設置、掘削などの工事計画は工事開始の何日前までに所轄の労働基準監督署長へ提出が必要ってことです。また、計画する際にも資格要件(例:一級土木施工管理技士)を満たす必要があると書いてあります。

労働安全衛生法第88条の対象となる工事
1. そもそも計画届の目的とは?
労働安全衛生法で定める計画届は、事業者(元請け)が建設工事等を開始する前に労働基準監督署が事業場において危険・有害な建設物、機械、工法等が採用されないように事前に審査(労働安全衛生法第88条・89条)することにより、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに快適な職場環境をつくることを目的とされています。
大きな災害に繋がりそうなものは、安全知識に長けた労働基準監督署がチェックしますよーってことです。

2. 計画届の種類と提出が必要な規模について
下記に、提出が必要な規模を記載しているので確認してみましょう。
- ①労働安全衛生法第88条第2項により届出が必要な機械等
(組立期間30日前までに届出) -
- 型枠支保工(支柱の高さが3.5m以上のものに限る。)
- 架設通路(高さ及び長さがそれぞれ10m以上のものに限る。)
- 足場(つり足場、張出し足場は高さに関係なく、それ以外の足場にあっては、高さが10m以上の構造のものに限る。)
- ②クレーン等安全規則により届出等が必要な特定機械等
(設置届は設置工事開始30日前まで) -
- クレーン設置届(つり上げ荷重3t以上のもの)
- クレーン設置報告書(つり上げ荷重0.5t以上3t未満のもの)*あらかじめ提出する
- エレベーター設置届(積載荷重1t以上のもの)
- エレベーター設置報告書(積載荷重0.25t以上1t未満のもの)*あらかじめ提出する
- 建設用リフト設置届(同0.25t以上でガイドレールの高さが18m以上のもの)
- ③労働安全衛生法第88条第4項により届出が必要な建設工事
(工事開始14日前までに届出) -
- 高さ31mを超える建築物又は工作物(橋梁を除く)の建設、改造、解体又は破壊の仕事
- 最大支間50m以上の橋梁の建設等の仕事
- 最大支間30m以上50m未満の橋梁の上部構造の建設等の仕事
(人口が集中している地域内における道路上もしくは道路に隣接した場所または鉄道の軌道上もしくは鉄道の軌道に隣接した場所において行われるものに限る。) - ずい道等の建設等の仕事(ずい道等の内部に労働者が立ち入らないものを除く)
- 掘削の高さ又は深さが10m以上である地山の掘削(ずい道等の掘削及び岩石の採取のための掘削を除く。以下同じ)の作業(掘削機械を用いる作業で、掘削面の下方に労働者が立ち入らないものを除く)を行う仕事
- 圧気工法による作業を行う仕事
- 建築基準法第2条第9号の2に規定する耐火建築物又は準耐火建築物で、「石綿等」が吹き付けられているものにおける石綿等の除去の作業を行なう仕事
- 廃棄物焼却炉(火格子面積が2㎡以上又は焼却能力が1時間あたり200kg以上のものに限る)を有する廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等の仕事
- 掘削の高さ又は深さが10m以上の土石の採取のための掘削の作業を行なう仕事
(厚生労働省の建設工事計画届のポイントより)※2025.1.28時点
②のクレーンについては土木ではあまり提出する機会が少ない印象です。クレーン設置届は固定式クレーンが対象なので、ラフタークレーンのような移動式クレーンは対象外なのです。

2-2. どんな工事が88条の対象となりやすい?
実際にどんな工事が88条の対象となるのか考えてみましょう。
橋脚の下部工工事
この場合
- 掘削深さが10m以上にならないか
- 足場の構造が10m以上にならないか
を考える必要があります。
橋梁のリニューアル工事(床版取替工事)
最近では大規模なリニューアル工事が盛んに行われていますね。
NEXCO東日本では、2021年度から2025年度までの中期経営計画において、約200橋の橋梁床版取替工事を実施する目標を掲げています。
床版取替工事の場合
- つり足場を設置するので機械等設置届が必要。
- 最大支間30m以上50m未満かつ人口密集地の道路(鉄道)上もしくは隣接していいないか
を考える必要があります。
ボックスカルバートの構築
現場打ちのボックスかルバートだと頂版のコンクリートを打設する際に型枠支保工を設置しますから、
- 型枠支保工の高さが3.5m以上にならないか
を考える必要があります。
88条の条件を全て暗記する必要はありません。調べれば出てきます。
ただ、88条にこの施工は引っかかりそうだな?という感覚は必要です。

2-1. 例外:計画の届出を必要としない仮設の建設物
- 吊り足場
- 張り出し足場
- 高さが10m以上の構造足場
上記の作業で、組み立て開始日から解体完了日までの期間が60日未満のものは届出は必要ありません。
届出の期限と提出義務者
1. 機械等設置・移転・変更届(様式第20号)
工事を開始する日の30日前まで。
2. 建設工事計画届(様式第21号)
仕事を開始しようとする日の14日前まで。
3. 提出義務者
建設業で一定の仕事を開始しようとする事業者、ただし仕事が数次の請負によって行われる場合において、その仕事をみずからおこなう発注者がいるときは、その発注者、そのような発注者がいないときは元請負人が届出義務者となります。
発注者が自ら仕事を行わない場合は、基本元請けが提出します。

4. 届出先
工事を行う場所を管轄する監督署の所長(所轄労働基準監督署長)に提出します。
例えば、工事事務所がA市、工事現場がB市でどちらにも労働基準監督署があるとすると、この場合の計画届を提出する先はB市(工事現場がある場所)の労働基準監督署になります。

実務での注意事項
計画届の受付時に指導および不備があるのは下記のような場合が多いです。
大きな現場になると同じ労働基準監督署に何度も計画届を提出することになります。
社内検査を受けているにもかかわらず、指導や不備事項がある場合、この工事(施工会社)は大丈夫なんだろうか。とマイナスなイメージを持たれてしまうので入念に準備を行って提出しましょう。

まとめ
今回は労働安全衛生法第88条について解説しました。
工事計画をする際に88条に引っかかる可能性がある計画を確認し、工程と相談しいつまでに作成するかを最初に決めておくことが重要です。
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。次回の記事もお楽しみに!
ご安全に!
自分の工事を振り返って88条が提出されているかを確認してみましょう。
