その選定、大丈夫?移動式クレーン性能表の正しい見方

こんにちは、B監督です!
今回は移動式クレーンの作業計画に必要なスキルでもある、性能表の見方について解説していきます。
クレーンの性能表を誤って読み取ると、過負荷によるブームの損傷やクレーンの転倒といった重大事故に繋がる危険があります。こうした事故を防ぐためには、性能表を正しく理解し、安全な作業計画を立てることが必要です。
本記事を読んで、移動式クレーンに対する知識を深め、より安全な現場作業を目指しましょう!

移動式クレーンの性能表の見方
「性能表の見方を制するものは移動式クレーンを制す!」
クレーンのカタログには基本的に
- 主要諸元
- 定格総荷重表
- 作業半径-揚程図
- 最小直角通路幅
- 主要寸法図
などが載っていますが、私たちが一番見なければならないのが
「定格荷重表」、「作業半径-揚程図」です。
今回は下記の資料をもとに解説していきます。
2-1. 定格総荷重表の見方
それでは実際に定格総荷重表を見ていきましょう。
25RCは使う前提として、現場条件を下記とします。
それでは、実際に表を見ていきましょう。
定格総荷重表には、アウトリガーの張出し幅やブーム、ジブごとに異なる表が用意されています。 必ず現場条件に合った表を選びましょう。
①アウトリガーは最大張り出し可能なので6.5mの表を選んでいます。
②使用するブーム長さの欄を見ます。
③現場での作業半径の欄を見ます。
ブーム長さと作業半径の交差するところが定格総荷重となります。
細かい注意点はありますが、大きい流れは以上です。
まず、見ている表が現場条件と間違っていないかを確認することが必須です。
④の太線って何の意味があるの?

結論としては、気にしなくてOKです!
クレーンの定格総荷重は
- クレーンの安定度
- クレーン(ブーム)の強度
- 巻上装置の能力
の3つの要素で決まっていて、そのうちの①と②の境目を太線で表しているだけです。
作業半径の小さい範囲ではクレーンの強度によって、作業半径の大きな範囲ではクレーンの安定度によって定格総荷重が決まっています。なので、定格総荷重を超える重量を吊ろうとすると作業半径の小さい範囲ではブームが折れたり、作業半径の大きな範囲ではクレーンが転倒するリスクがあるってことです。

2-2. 定格総荷重表の見方の注意点
実際に吊れる重量は表の値として考えていい?
先ほどの現場条件をもとに説明します。
作業半径11.0mで5.4tのPC部材を揚重する。
表1を見ると作業半径12.0mまで揚重が可能だと判断できそうです。
しかし、定格総荷重とは
吊荷重量+つり具+フック重量
のことです。
なので、つり具を0.1tとすると、フック重量が0.22tですので、
5.4+0.1+0.22=5.72(t)
となって、5.6(t)≦5.72(t)、と定格総荷重を超えてしまいます。
定格総荷重からどれくらい余裕を見たらいい?
なるほど。じゃあ、つり具やフック重量を含んだ値が表の値以下ならOKってことでいいの?

いい質問です!
でも答えは、NOです。
そもそも表の値は過負荷防止装置がモーメント負荷率100%となる重量です。

う、うん?

つまり、表の値までの重量を吊るとクレーンが自動停止ないし、転倒する可能性があるということです。

では、表の値からどれくらいの安全を見て、作業計画を立てたらいいのかを考えていきましょう。
クレーンには3色灯がついており、色の違いによってAMLモーメント負荷率がどれくらいかを表しています。
- 緑色灯…負荷率90%未満、余裕のある安全な状態
- 黄色灯…負荷率90%以上100%未満、危険ではないが、注意が必要
- 赤色灯…負荷率100%以上、危険な状態、直ちに安全側へ操作が必要
現場では負荷率90%未満、緑色灯がついてる状態をキープした計画が基本です。仮に現場で黄色灯がついた場合、あれ?計画と違うな。とすぐ気づけるヒントになります。
負荷率90%未満を考慮してもう一度考えてみます。
まず、赤枠の表の値に0.9をかける。
6.6(t)×0.9=5.94(t)
この値未満で計画する必要があります。
この値から
吊荷重量+つり具+フック重量
を引きます。
5.94-(5.4+0.1+0.22)=0.22
なので、
5.94(t)>5.72(t)…OK!
となります。
ところで、フック重量っていきなり出てきたけど、どこに載ってるの?

クレーンの重量は定格総荷重表の最後のページに載っています。


2-3. 作業半径-揚程図の見方
今回の条件は、ブームが23.5mで作業半径11.0mなので、地上揚程(主巻フックの下端)が約20.5mです。
なので、吊り荷の位置は20.5mから玉掛けワイヤー分の高さを引いたところにきます。
作業半径-揚程図を確認する際は、以下のポイントをチェックしましょう。
✅ 吊り荷の揚程(玉掛けワイヤー分を考慮して計算)
✅ 障害物(木・建物・架空線など)と干渉しないか
✅ 作業半径が変わった場合の揚程の変化(ブーム角度による影響)
作業半径-揚程図は注意書きでもありますが、
- ブームのたわみを含まない
- アウトリガ最大(6.5m )張出状態での図
なので注意してください!

2-4. クレーン計画に役立つ現場便利グッズ
- 50mスチールテープ(ヤマヨ測定器)
⇨作業半径やアウトリガーの位置出しの時に重宝します。使い所は多岐に渡る現場の基本道具ですね。

- レーザー距離計(ボッシュ)
⇨高架橋下での高さ計測、サイズもコンパクトなので持ち運びに便利。最大測定距離は40mまで測定できます。

まとめ
今回は、移動式クレーンの性能表の見方について解説しました。
性能表の読み方を正しく理解すれば、安全で効率的なクレーン作業が可能になります。
最後に、作業計画時に必ず確認すべきチェックポイント をまとめました。
☑ クレーンの位置と運ぶ位置の高さ関係を確認
☑ 作業半径をCAD or 現地で確認
☑ アウトリガーの張出幅を確認
☑ 作業半径-揚程図で障害物との干渉をチェック
☑ 計画荷重(吊り荷+つり具+フック重量)を算出し、安全マージンを確保
性能表の見方がわかれば、移動式クレーンの作業計画書の作成にも役立ちます。
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。次回の記事もお楽しみに!
ご安全に!
会社によっては負荷率を80%と自主的に決めている場合もあるので、まずは自社で決まりがあるかどうかを確認することをおすすめします。
