現場監督、見てるだけ?施工管理としての役割って?

- なんか順調に作業も進んでるし、暇だなー
- なんで現場で張り付いてなきゃいけないんだろう
- 現場についてこいって言われたけど、先輩も現場みてるだけじゃん
こんにちは、B監督です。
現場監督って楽な仕事だな。暇な仕事すぎて、どうやって時間を潰したらいいかわからない。今日は人のこないあそこに車を止めて休憩しているか。なんて思ったことないですよね?
私は大手ゼネコンで8年、土木の施工管理をしてきました。上司、職人さんに怒られながら、なんとか今はそれなりの目で現場を見通すことができるようになりました。
この記事では、立って見ているだけと思われがちな現場監督が、頭の中で何を考えているのか。私が現場を見ている時に、実際に考えている具体例とともに解説します。
なーんにも、考えずに見ているだけの監督もまれにいます。笑 今回は、じゃない方の監督を説明していきます!

現場監督が現場で見ていること
そもそも現場監督が現場を見ているのは、当然ながら事務所作業じゃ見えてこないものを見るために現場に出ています。
現場に出て見ていないと、工程通りに進んでいるか、施工について職人さんが不満なく施工できているか、安全計画に沿った作業ができているか、余剰資材や機材はないかが把握できません。
例えば、型枠の組み立てを6人で2日で組める工程を引いていたとします。ところが実際は、1人は作業的に遊んでおり、2人工(にんく)無駄にしていた。協力業者が請負であれば、こちらに損はありませんが、常用工事であればうちが2人工分払い損になってしまいます。
このように、現場じゃないとわからないことを監督は確認しています。
他には現場条件が図面通りかチェックします。事前に把握できていないと、トラブルの原因になるだけですが、気づければ設計変更のチャンスになります。

現場を見る上で大切な5つの視点

安全管理の視点
- 作業手順書通りに作業が進められているか
- 現場に災害につながるような危険なポイントはないか
- 労働安全衛生法や作業に関連する規則を遵守しているか
工程管理の視点
- 月間工程、2週間工程に沿って作業が進んでいるか
- 直近で現場に入場する協力会社への現場の段取りは済んでいるか
- 休憩なし、残業ベースが常態的になっていないか
原価管理の視点
- 計画した施工手順が本当にベストだったのか
- 遊んでいる人、機材、材料はないか
- どの作業にどれくらいの人数でどのくらい時間がかかっているのか(歩掛り)
品質管理の視点
- 基準の規格値内で構造物を作れているか
- 適正な材料が使われているか
- 仕様書や基準類を遵守できているか
環境管理の視点
- 環境慣例法令を遵守しているか
- 建設副産物が適正に処理されているか
協力会社が優秀な場合、トラブルが元請けに上がってこずに淡々と現場が進む場合があります。そのような場合は、現場で見るべきことを見ていないと、自分の成長するきっかけも失ってしまいます。

若手のうちはトラブルには必ず飛び込むのがいいぞ。自分が原因ならば、誠実に謝って対策を考えるんだ。そうした経験が自分のレベルをぐっと上げてくれるんだズ。

素直に頑張っているやつを俺らは好むぜ!

目で見ながら、頭では2手3手4手5手先を想像している

現場監督は現場を見渡しながら、頭の中で施工をイメージしています。短期間の工事であれば、施工計画書の流れを現場でイメージしながら、施工の干渉や無理な作業がないかを考えているんですね。
土木工事はいろんな協力会社の上に成り立っているので、トラブルを未然に防ぐことが現場監督には求められるのです。
たとえば、
- A作業とB作業、今は順調だけどあと2日したら作業干渉しそうだな
- 明日は新しくC作業が入ってくるけど、今のD作業と干渉しないか?
- 雨が降ったら、水の逃げ道はどこにいくんだ?
などと考えたりすれば、事前に調整や段取りが可能になります。
現場では常に未来の作業を想像しながら、その作業が問題ないなく施工できるかの確認作業をしているのです。
そこでトラブルを発見できれば、事前に職長にも相談できます。いや、計画からそうしろよ!ということはごもっともなんですが、そう上手く行かないのも土木工事の魅力の一つですよね。

おいらも気づかないトラブルを事前に教えてもらえると、「お、こいつちゃんと考えてるな」ってその現場監督の見方も変わるんだズ。

見ているだけにならないために最低限すべきこと3つ
初めて現場に配属されたとき、上司に現場見ておけよって言われたことはありませんか?どこを見ておけばいいのかもわからず、上司も忙しそうにしているので質問もできず、なんてことにならないように、下記の3つを最低限守りましょう。

作業の目的を考えて現場を見る
現場での作業には必ず目的がつきます。
たとえば、
- 切土掘削をする。⬅︎ブロック積みをつくるために
- 均しコンの型枠〜打設。⬅︎重力式擁壁の型枠を建てるために
など。目的がわかっていれば、下記のことに注意しながら現場管理ができます。
- 丁張りの勾配は間違っていないかな。床付け幅は型枠や基礎コンを施工する作業スペースはあるかな。
- 型枠の前面には型枠浮き防止用の鉄筋が埋め込まれているかな。型枠は型枠組める分だけふかしてあるかな。天端の高さはいつぐらいになりそうかな。
目的がわかれば、見るべきポイントもわかってきます。
作業の目的がわからなければ、上司に聞きましょう。上司に聞ける雰囲気もない場合は、図面を見ましょう。仕様書を見ましょう。
私は上司に聞ける雰囲気がなくても、上司に聞きます。上司に聞かずにミスした時のリスクの方が大きいですからね。

職人さんと積極的にコミュニケーションをとる
現場での話しやすい雰囲気を醸成するためにも、職人さんと積極的にコミュニケーションをとってください。
可愛がられたら、もうこっちのものです。技術を教えてもらいましょう。職人さんは私たち現場監督よりも、現場の知識が豊富なのはもちろんのこと、私たちに施工計画のヒントを授けてくれます。
職人さんと仲良くするには、現場に行った際は必ず声掛けを行うことは必須です。現場ですれ違っても何も声をかけない、なんてことはしていないですよね?
- おはようございます。おつかれさまです。
- 何か困ったことありませんか?(職人さんの笑顔が見れて順調そうな時に聞く)
- あそこの納め方ってどうしたんですか?
この繰り返しで現場で話しかけられることも多くなりますし、職人さんから現場のことについて相談されることも増えます。
自分の思ったことは意見として丁寧に職人さんにぶつける。自分が間違っていたら素直に謝る。愚直な性格は職人さん好みです。

今の現場監督は職人に注意ができない?
今の現場監督は職人さんに嫌われることを恐れて、注意することができないと言われています。職人さんが不安全行動をしていても、今の関係性が崩れるのを恐れ、見てみぬふりをしてしまう、など。気持ちは大いにわかります。ですが、我々現場監督は注意しなければなりません。もし、あなたが不安全行動を注意しなかったことが原因で、事故が発生しその職人さんが大怪我をしてしまったら、一生後悔します。私も仲のいい職人さんを注意することはありますが、注意の仕方を気をつければ問題ありません。
〇〇さん、安全帯忘れていますよ。
〇〇さん、トラックへの昇降は昇降設備を使用してくださいね。
丁寧に、そして相手を尊重して伝えることが大事です。たまに、高圧的に注意する現場監督がいますが、私はあまり好きじゃありません。現場は一人では進められませんから、そのことを念頭においてコミュニケーションをとっていきましょう。
目的を持って現場へ出る
目的を持って現場に出ると、ぼーっと見ているだけの時間は確実になくなります。
- 火気作業があるので、消火設備の配置と残火確認をしっかり行なっているかを確認しよう
- 玉掛け作業があるので、作業手順書にかかれた人が実際に指揮しているかを確認しよう
- 土運搬作業があるので、過積載でないか、決められたルートを通行しているか、スピードの出し過ぎではないかを確認しよう
など簡単なことでいいです。
現場に出る前に野帳にメモし、達成したらチェックしましょう。
疑問に思ったことやわからないこともそのままにせず、野帳にメモして残しましょう。自分で調べてもわからない場合は上司に聞くなりして、経験値にしていくことが大事です。また、上司への現場をよく見ているアピールにもなります。

現場監督の仕事はプライドを持ってこそ楽しくなる
私は現場監督という仕事に誇りを持っています。
なぜなら、私たちは社会のインフラの基盤を造っています。私たちが作ったトンネルは、作られたあと、いったい何人の方が利用するんでしょう。橋梁では何人が利用するんでしょう。コンクリートの寿命は条件が厳しい場合、約50年、比較的好条件だと約100年ほどと言われています。1日に1万人通行するとしたら、50年だと182,500,000人が利用するんです。
たくさんの人が快適に生活できるように、大事な仕事を今こなしているんだ。と思ったら、楽しくなるのは私だけですかね。
仕事が楽しければ、ぼーっと作業を見ているだけの時間なんてなくなります。
ここまで読んでいただいているなら、きっと皆さんも現場監督を楽しめる方々です。
まとめ
現場監督はただただ作業を眺めているわけではありません。
- 現場では5つ(工程、安全、原価、品質、環境)の視点で見ている
- 2手3手先の作業を見据えて、トラブルを未然に防ごうとしている
- 作業の目的を考える
- 職人さんと積極的にコミュニケーションをとる
- 現場に目的を持って向かう
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。次回の記事もお楽しみに!
ご安全に!
現場監督はやりがいのある仕事だ!とよく言われますが、私がやりがいを感じたのは7年目でした。笑
