若手現場監督必見!レベル測量の基本と計算方法の完全ガイド|現場監督のたまり場
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こんにちは!現場監督歴8年のB監督です。
建設現場で欠かせない「レベル測量」。初心者にとっては難しそうに感じるかもしれませんが、ポイントを押さえれば簡単です!今回は、若手現場監督向けにレベル測量の基本と実践方法をわかりやすく解説します。
レベル測量は監督の基本んだ!しっかり覚えるんだズ。
レベル測量とは
レベル(level)とは色々な意味がありますが、ここでは水準を表します。
水準の意味は、簡潔に言うと高さの位置のことです。
レベル測量とは、「高さの位置を測量すること」と覚えて下さい。
どんな時に必要になるのかな。
良い質問だ。必要になる場面をいくつか下に挙げてみたズ。
- 基礎工事: 構造物を設計高さに水平に設置。
- 掘削工事: 掘削深さの確認。
- 構築工事: 構造物の各所高さの確認。
他にもいっぱいあります。
レベル測量に必要な道具
※写真はトータルステーションとなっています。
1) レベル(オートレベル)
地面の高さを測定する機器。
私はニコンのAE-7を使用しています。操作性もシンプルでとても扱いやすいです。
今だと1万円台でAmazonなどで購入できる商品もありますが、私は上記のレベルを使用しています。
2) 三脚
レベルを安定させるのに使用します。
三脚の頭部は平面と球面の2種類あります。
私は球面タイプを使用しています。
- 平面タイプ:ほぼほぼ水平に据えないといけない。
- 球面タイプ:平面タイプより水平に据えなくても良い。据えやすい。
今回は触れないが、三脚にはオートレベル用とトータルステーションでは三脚と機械を繋げる治具が違うパターンがあるから注意するんだズ。
現場では先輩から「足持っていこい」と言われる場面が多々あります。
足=三脚です。ちなみに頭はオートレベルであったり、トータルステーションだったりします。間違えないようにご注意ください。
3) スタッフ(測量用スタッフ)
測定対象の高さを視覚的に確認する目盛り付きの棒。
私はシンワ測定の5m5段を使用しています。3段だと縮めた時に2.0m近くあり、車に積む時や現場で運搬する際に不便なためです。
4) 野帳と赤鉛筆
測定結果を記録するための野帳と現地にマーキングする用の赤鉛筆です。現場監督には必須の道具です。
野帳の中身は振り返ったときに分かりやすいよう、きれいに書きましょう。日付と天気を書いておくだけでも変わりますよ。
5) 関数電卓
オートレベルでスタッフを除く人は数値を読んで、野帳に書き出します。その後に計算をして、目標の値になっているかどうかを確認します。
最近では、スマートフォンで計算する人も多いですが、いちいち手袋をとったりロック解除といった手間が多いので、私は関数電卓を押します。
私が使っている関数電卓はこちらです。
現場で使用するのはもちろんですが、事務所でも構造計算をする場合に使用します。
レベル測量の手順
ステップ1: 準備
- 三脚を設置: 安定した地面を選び、三脚を固定。
⇨安定した地盤以外にも、柔らかい土の上などに据える場合があります。その際は、足を設置している付近は踏まないようにしましょう。近くを踏んだら、足も一緒に沈んでしまう。なんてことはよくあります。 - レベルの水平調整: 水準器の気泡を中央に合わせる。
⇨練習あるのみです。オートレベルであれば、30分程度練習すればすぐ据えれるようになります。
オートレベルAE-7の詳細な取り扱いについては株式会社ソーキのHPをご確認ください。
測量する際は作業用の手袋は外しましょう。機械が汚れてしまいます!仕事道具は現場監督の命です!
ステップ2: 測定
- 基準点を設定: 測量の基準となる高さを決定。
- スタッフを立てる: 測定地点にスタッフを垂直に立てる。
⇨スタッフを当てる時は、スタッフの下に泥などがついていないか確認しましょう。精度を求める作業なので、1mmの誤差でも許さない気持ちでも臨みましょう。 - 数値を確認・記録: レンズを覗き、スタッフの目盛りを確認し野帳に記録。
ステップ3: 高低差の計算
野帳に記録したデータを関数電卓で計算。下記に計算例を書きましたので気になる方はチェックしてみてください。
実際の野帳は上記のようになります。(一部は用語の説明)
- まず、①に基準点のEL(エレベーション)の値を記入します。この値は測量してわかるのではなく、既知点となっているので、最初から記入できます。
- 次に、①の場所にスタッフを立てて、もう一人がオートレベルを覗いて、見えた値を②の場所に書き込む。
- ①と②の数値を足して、③機械高さが出る。この値がオートレベルの高さになります。
- オートレベルで覗く視点は全て③の高さの視点で見ている意識を持つとイメージが湧きやすいです。
- 次に測点Aの場所にスタッフを立て、オートレベルで覗いて見えた値を④に書き込みます。③機械高さから、見えた高さの数値④を引くと測点AのEL⑤がでます。
- 結果が出たら、⑥の設計高さになっているかどうかを確認します。差があれば⑦に書き込みます。
- 差をみると掘削高さが950mm超過している状態です。
——測点Bは別の視点で考えて見ましょう——
- 目標値から考えてみると下記のようになります。
機械高さ③−目標高さ⑧=見えるはずのスタッフの数値⑨
すなわち、設計の⑨の値がでるってことですね。 - 電卓に設計の⑨の値を入れておいて、実際のFSを引けば、
「あと〇〇mm下げです!上げです!」というレスポンスが素早くとれるのでおすすめです。
上記が高さ関係のイメージ図です。
慣れないうちは、オートレベルの読み間違いや計算ミスなどをやりがちです。失敗はそのままで終わらせず、反省して同じミスを繰り返さないようにしましょう。
ちなみに現場では、若手がオートレベルを見て、熟練の先輩がスタッフを持つことが多いんだ。意外に手元作業の方が技術がいる。上司の動きはよく見ておくようにするんズ!!
最近では野帳を使わずにipadでエクセルを開いて、ipadに入力している人もいますね。この場合、セルに計算式を仕込んでおけば電卓をたたく必要がないので便利です。
ただ、メモ書きをしたりする時は少し不便です。
レベル測量の注意点
- 三脚の安定性: 地面が不安定な場合は土嚢袋などで補強。風が強い日も同様です。また、長時間測量場所を離れる場合は、頭(オートレベル)を箱に戻しましょう。
- スタッフの垂直性: スタッフが斜めにならないよう注意。丁寧にスタッフを前後に振るようにしましょう。
- 気泡の確認: 測定中に水平が崩れないよう定期的にチェック。
スタッフを立てる位置に体が持っていけないときは、スタッフが斜めに立ちがちです。
そんな時はチルトをスタッフにつけるといいでしょう。
下記商品はマジックテープでつけ外しするタイプなので、自分が見やすい位置に容易に設置できます。
まとめ
この記事では、オートレベルの基本や使い方、そして現場で役立つ具体的なコツについてご紹介しました。レベル測量は建設現場の基礎となる重要なスキルです。
これから現場で測量を行う方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。基礎をしっかり押さえることで、よりスムーズな現場作業が実現するはずです。
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。次回の記事もお楽しみに!
それでは、ご安全に!
構造物の高さ管理は非常に重要です。橋脚であれば、下部工事から上部工事に引き渡す時に高さが合わないとトラブルの原因となったりします。
慌てない。丁寧に。確認する。これを守ってレベル測量に臨みましょう。