【図解】レベル測量(水準測量)の計算方法と野帳の書き方|現場で迷わない基本手順
- 「あれ、BSとFSってどっちを足して、どっちを引くんだっけ?」
- 「結局、コンクリート天端まではあと何mm上げるの?下げるの?」
- 「そもそも、野帳ってどう書けば見やすくなるんだろう。」
こんにちは、B監督です!
現場に配属されると、ほぼ確実に関わるのがレベル測量です。
ただ、慣れないうちは計算の足し引きを間違えたり、野帳を見返したときに「これ何を書いたんだっけ?」となったりしがちですよね。
私自身も、若手の頃はレベル測量に苦手意識がありました。
特に、BSとFSの使い分けや、あと何mm上げ下げするのかをその場で判断するのには苦労した記憶があります。
そこで今回は、若手現場監督向けに、レベル測量の計算方法、よく使う用語、野帳の書き方を、現場でよくある場面を交えながらわかりやすく解説します。
この記事を読めば、レベル測量の基本的な考え方が整理できて、明日からの測量作業にも落ち着いて対応しやすくなります。
結論からいうと、レベル測量は
「どこを足して、どこを引くか」
この流れを整理すれば、一気にわかりやすくなります。
最初はややこしく感じますが、順番に整理すれば大丈夫です。一緒に押さえていきましょう!

まず覚えよう!レベル測量で使う「4つの用語」と「計算式」
レベル測量と聞くと、
「計算がややこしそう…」
「アルファベットの用語が多くて苦手…」
と感じる人も多いと思います。
ただ、難しく感じる原因は、いきなり全部を理解しようとすることにあります。
レベル測量の基本は本当にシンプルで、最初は4つの用語と2つの式だけ覚えればOKです。
まず覚えたい4つの用語|BS・FS・HI・ELとは?
レベル測量ではアルファベットの略語が出てきますが、現場でよく使うのはこの4つが中心です。
最初から完璧に覚えようとしなくても大丈夫なので、まずはそれぞれの役割をざっくり押さえておきましょう。
BS(後視)
基準となる高さを読むための数値です。
「足す側」と覚えると分かりやすいです。
FS(前視)
新しく高さを知りたいポイントを読むための数値です。
「引く側」と覚えます。
IH(器械高)
レベルの水平ラインの高さのことです。
計算の基準になる数値です。
EL(標高)
地面やコンクリート天端など、その点の実際の高さのことです。
現場に出たばかりの頃は、「BSは足す、FSは引く」だけ頭に入っていれば十分です。

計算に使う公式はたった2つだけ!
用語の役割がなんとなく分かったら、次はこの2つの式を見てください。
レベル測量は、基本的にこの足し算と引き算の繰り返しです。

- 器械高(IH)= 基準点の高さ(EL)+ BS
- 測点の高さ(EL)= 器械高(IH)- FS
流れとしては、
【基準点を読む】→【器械高を出す】→【測点を読む】→【高さを出す】
これだけです。
レベル測量の高さ関係
実際に現場に立つと、これらの計算式がどういう状態なのかイメージしづらいかもしれません。
そんな時は、この高さ関係を図で整理してみましょう。


この図で押さえたいのは、次の3つだけです。
- 基準点の高さにBSを足すとIHが出る
- IHからFSを引くと測点のELが出る
- BSは足す、FSは引く
では、この図のイメージを持ったまま、実際に数字を入れて計算してみます。

ステップ①:器械高(HI)を出す【足し算】
まず最初に出すのが、器械高(IH)です。 たとえば、基準点の高さ(EL)が 10.000m で、そこに立てたスタッフの読み(BS)が 1.200m だったとします。
- 10.000m(EL)+ 1.200m(BS)= 11.200m(IH)
これで、いま覗いているレベルの視線が 11.200m の高さにあることが分かります。 ここでは、基準点の高さにBSを「足す」のがポイントです。
ステップ②:測点の高さ(EL)を出す【引き算】
次に、求めた器械高を使って、知りたいポイントの高さを出します。
さっき求めた器械高が 11.200m で、知りたい場所に立てたスタッフの読み(FS)が 0.850m だったとします。
- 11.200m(IH)- 0.850m(FS)= 10.350m(EL)
これで、測点の高さは 10.350mだと分かりました。 器械高からFSを「引く」ことで、その点の高さが出せます。
最初のうちは、毎回この式を見ながら計算して大丈夫です。 慣れてくると、現場でも自然に流れを追えるようになります。
【図解】現場で困らない「野帳」の書き方と計算手順
ここまでで、具体的な計算の流れは整理できました。
次は、この数値を実際に野帳へどう書いていくのかを見ていきます。
レベル測量は、頭の中だけで計算しようとすると高確率で混乱するので、順番どおりに整理することが大切です。

野帳の1番上には「日付・どこの測量か・誰と行ったか」を書くようにしましょう。振り返った時に大事な情報になります。

手順1:BM行の「BS」を読んで「IH」を書き込む
さっきの計算と同じですが、野帳に書くときは「横の行」で見ていきます。
まず、BM(基準点)の行の「EL」に 10.000 と書き、読んだ数値を「BS」の欄に 1.200 と書きます。
この2つを足した 11.200 を、同じ行の「IH」の欄に書き込みます。これで準備完了です。
手順2:次の行(No.1)に移り、「FS」と「EL」を埋める
知りたい測点(No.1)のスタッフを読んだら、一段下の行の「FS」の欄に 0.850 と書きます。
そして、すぐ斜め上にある IH(11.200)からこの FS を引き、
出た答え 10.350 を同じ行の「EL」の欄に書き込みます。
手順3:「FH」を書いて、現況との「差」をメモする
最後に、そのポイントの設計高さ(目標)を「FH」の欄に 10.400 と書きます。
先ほど出した EL(10.350)から FH(10.400)を引き、出た -0.050 を一番右の「差」の欄に書き込みます。
これで「ここは設計より50mm低いな」と、野帳を見るだけで一目でわかるようになります。
現場で役立つレベル測量の逆算テクニック
ここまでで基本の流れは完璧です。
ただ、現場で本当に役立つのは、あと何mm上げるか、下げるかをすぐ判断することです。
現場で「あと何mmですか?」と聞かれたときに素早く回答できる、逆算テクニックをご紹介します。

この図で押さえたいのは、次の2ステップだけです。
ステップ1:目標の読み値を出す
今回の例では、器械高(IH)が 11.200、設計ELが 10.400 です。
このとき、設計どおりならスタッフでいくつ見えるはずかを先に出しておきます。
11.200 – 10.400 = 0.800 この 0.800 が、目標の読み値です。
ステップ2:実際のFSと比べる
実際に現場で読んだFSが 0.850 だった場合、目標の読み値 0.800 と比べます。
0.850 – 0.800 = 0.050 実際の読み値の方が 0.050大きい ので、現況は設計より 50mm低い と判断できます。
つまり、今回の結論は あと50mm上げ です。
現場では、レベルを読んだ時にここは暗算で行なって、上司に「目標まで〇〇mm上げですねー!」と言えると、上司は「お、いいねー。」と確実にいい反応を示します!

なぜこの考え方が便利なのか
この方法のいいところは、毎回ELまで計算し直さなくても、その場で上げ下げを判断しやすいことです。
現場では、
「あと何mmですか?」
とすぐ聞かれる場面があります。
そんなときに、先に目標の読み値を出しておけば、実際のFSと比べるだけで判断しやすくなります。
覚え方のコツ
ここで大事なのは、読み値が大きいほど地面は低い ということです。
なので、
この関係を覚えておくと、逆算の判断がかなり楽になります。
最初のうちは、無理に暗算しなくて大丈夫です。
電卓でもExcelでもいいので、目標の読み値を出して、実際のFSと比べる という順番を丁寧に繰り返してください。
慣れてくると、現場でもかなり反応しやすくなります。
初心者がやりがちなミスと注意点
レベル測量は、難しい計算よりもちょっとした思い込みや読み違いでミスしやすい作業です。
ここでは、若手が最初に気をつけたいポイントだけに絞って整理します。
BSとFSを逆にしない
まず気をつけたいのが、BSとFSの取り違えです。
- BSは、基準点を読んでIHを出すための値
- FSは、測点を読んでELを出すための値
つまり、
BSは足す
FSは引く
この流れを崩さないことが大切です。
迷ったら、最初に読むのがBS、測点で読むのがFS と覚えておけば十分です。
スタッフを立てる人は、まっすぐを意識する
次に大事なのが、スタッフを立てる側の動きです。
ここは、レベルを覗く人ではなく、スタッフを持っている人が意識するポイントです。
スタッフが前後に傾いていると、読み値がずれてしまい、正しい高さが出ません。
特に慣れないうちは、まっすぐ立てているつもりでも、少し傾いていることがあります。
だからこそ、スタッフを持つ側は、
- 地面にしっかり当てる
- 前後にぶれないように立てる
- 合図があれば少しずつ動かす
このあたりを意識することが大切です。
レベルを読んでいる時にスタッフが曲がっていたら、「頭、ひだりちょーい!」など、声掛けをしましょう。
距離が遠いと声が届かないので、自分のヘルメットをポンポンして、傾けたい方向に手を向けましょう。測量に慣れている人ならば伝わります。

最初は暗算より確認を優先する
現場ではスピードも大事ですが、最初のうちは早さより正確さを優先した方が安全です。
慣れないうちに頭の中だけで計算すると、
BSとFSの取り違えや、符号ミスが起こりやすくなります。
最初は、
- 野帳に書く
- 電卓で確認する
- 必要ならExcelでも整理する
これくらい丁寧で問題ありません。
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数字だけでなく、動きも振り返る
数値が合わないとき、すぐに計算ミスだと思い込みがちですが、実際には
- スタッフが傾いていた
- スタッフの当てるポイントが違った
- 読み上げと聞き取りがずれていた
ということもよくあります。
だからこそ、数字がおかしいときは、計算だけでなく現場の動きも一緒に振り返ることが大切です。
よくある質問のコーナー
レベル測量の計算は、結局どこを足してどこを引けばいいですか?
基本はこの2つだけです。
- 基準点の高さ + BS = IH
- IH – FS = EL
まずは BSは足す、FSは引く と覚えておけば大丈夫です。
BSとFSの違いがよく分かりません
BSは、基準点を読んで IHを出すための値 です。
FSは、測点を読んで ELを出すための値 です。
迷ったら、
最初に読むのがBS、測点で読むのがFS
と考えると整理しやすいです。
FHって何ですか?
FHは、設計のEL、目標のEL です。
実際に測って求めたELとFHを比べることで、現況が設計より高いのか低いのかを判断します。
差がマイナスのときは、どう判断すればいいですか?
差は EL – FH で考えます。
差がマイナスなら、現況は設計より低い 状態です。
差がプラスなら、現況は設計より高い 状態です。
たとえば、
10.350 – 10.400 = -0.050
なら、現況は設計より 50mm低い と判断します。
あと何mm上げるか、下げるかはどうやって判断しますか?
まず、IH – 設計EL で目標の読み値を出します。
そのあと、実際のFSと比べます。
- 実際の読み値が目標より大きい → 現況は低い → 上げる
- 実際の読み値が目標より小さい → 現況は高い → 下げる
この流れで考えると、その場で判断しやすくなります。
野帳はきれいに書かないとダメですか?
最初から完璧にきれいに書く必要はありません。
それよりも大事なのは、あとで見返したときに自分で流れを追えること です。
まずは、
- BSでIHを出す
- IHからFSを引いてELを出す
- ELとFHを比べて差を見る
この順番が分かるように整理できれば十分です。
暗算でできるようになった方がいいですか?
最初は無理に暗算しなくて大丈夫です。
むしろ、慣れないうちは野帳や電卓を使って、順番どおりに確認する方が安全です。
大事なのは速さより、計算を間違えないこと です。
まとめ
この記事では、レベル測量の計算方法を解説しました。
基本的な、レベル測量のイメージはついたでしょうか。
早速、明日から現場で実践してみましょう。
まずは、
- 慌てずにレベルを正確に見る
- 野帳に正確に記入する
- 計算は電卓でゆっくり行う
です!明日からもしっかり測量していきましょう。
ご安全に!
構造物の高さ管理は非常に重要です。橋脚であれば、下部工事から上部工事に引き渡す時に高さが合わないとトラブルの原因となったりします。
慌てない。丁寧に。確認する。これを守ってレベル測量に臨みましょう。

